母親は嬉しそうに椅子に座りながら、私の方をじっと見つめている。
そこまで凝っているご飯ではないので、そこまで見られると恥ずかしい。
「じゃあ、いただきます」
そうは言ったものの、私はまだ手を付けることができなかった。
母親の反応が気になったからだ。
今まで自分の手料理を誰かに振る舞う機会は多くあったけれど、ここまで緊張することはなかった。
長年、会ってなかった母親に自分が作ったご飯を食べてもらうというのは、こんな気持ちになるものなのか。
「どう?」
「うん。美味しい」
「ごめんね。軽くしか作れなかったけど」
「菫が作るものは何でも嬉しいに決まってるじゃない。本当に、一人で頑張って生きていたのね」
その言葉を聞いて、この場所に来て張りつめていたものが、初めて解けたような感覚になった。
私が東京でもがいていた十年が認められたような気がした。全てが報われるような気持だった。
「うん」
私は涙がこぼれそうになるのを抑えて、笑顔を作る。
そんな私を見て、母親も笑っていた。
「菫ちゃんも食べなさいよ。冷めちゃうわよ」
私はその言葉をきっかけに、うどんを勢いよく食べ始めた。
お腹が減っていたのか、すぐに食べ終わり、食器洗いをしていた時、母親がふと思い出したように声をかけてきた。
「菫。菫の部屋を整理しといてもらっていい?残しておきたいものと、捨ててもいいもの分けといてほしいの」
「うん。わかった」
私の部屋はあの時から全く変わっていなかった。十年も経っているのに。
食器洗いが終わり、早速自分の部屋へ向かう。
改めて、高校時代の自分の部屋を見まわす。
残しておきたいものといらないものに分けてと言われても、残しておきたいものなどほとんどないのではない気がする。
そう思いながらも、何か思い出の品があるかもしれないしということで、押し入れの整理から始めた。
こういうことを始めると、だいたい懐かしいものに目が留まり、掃除作業が中断してしまう。
卒業アルバムなどを見つけると、それに夢中になってしまう。
他にも高校時代のものを探していると、スクールバックを見つけた。ボロボロになっている。
今、見るとよくこんなダサいものを使っていたなと思う。
バッグの中には使い古された教科書とかくしゃくしゃになったプリント、筆箱が入っていた。
「うわ~、こんな筆箱使ってたな」
そこまで凝っているご飯ではないので、そこまで見られると恥ずかしい。
「じゃあ、いただきます」
そうは言ったものの、私はまだ手を付けることができなかった。
母親の反応が気になったからだ。
今まで自分の手料理を誰かに振る舞う機会は多くあったけれど、ここまで緊張することはなかった。
長年、会ってなかった母親に自分が作ったご飯を食べてもらうというのは、こんな気持ちになるものなのか。
「どう?」
「うん。美味しい」
「ごめんね。軽くしか作れなかったけど」
「菫が作るものは何でも嬉しいに決まってるじゃない。本当に、一人で頑張って生きていたのね」
その言葉を聞いて、この場所に来て張りつめていたものが、初めて解けたような感覚になった。
私が東京でもがいていた十年が認められたような気がした。全てが報われるような気持だった。
「うん」
私は涙がこぼれそうになるのを抑えて、笑顔を作る。
そんな私を見て、母親も笑っていた。
「菫ちゃんも食べなさいよ。冷めちゃうわよ」
私はその言葉をきっかけに、うどんを勢いよく食べ始めた。
お腹が減っていたのか、すぐに食べ終わり、食器洗いをしていた時、母親がふと思い出したように声をかけてきた。
「菫。菫の部屋を整理しといてもらっていい?残しておきたいものと、捨ててもいいもの分けといてほしいの」
「うん。わかった」
私の部屋はあの時から全く変わっていなかった。十年も経っているのに。
食器洗いが終わり、早速自分の部屋へ向かう。
改めて、高校時代の自分の部屋を見まわす。
残しておきたいものといらないものに分けてと言われても、残しておきたいものなどほとんどないのではない気がする。
そう思いながらも、何か思い出の品があるかもしれないしということで、押し入れの整理から始めた。
こういうことを始めると、だいたい懐かしいものに目が留まり、掃除作業が中断してしまう。
卒業アルバムなどを見つけると、それに夢中になってしまう。
他にも高校時代のものを探していると、スクールバックを見つけた。ボロボロになっている。
今、見るとよくこんなダサいものを使っていたなと思う。
バッグの中には使い古された教科書とかくしゃくしゃになったプリント、筆箱が入っていた。
「うわ~、こんな筆箱使ってたな」
