私は

そんなことないよ。

十分だよ。


って、首を振り大きな涙を流した。






『裕平くん……。』





私が濡れた頬を片手で拭き、笑うと

裕平くんも同じように笑い返してくれた。



「ん?なに?」









『…何でもない。…ありがとう…。』






飲み込んだ言葉が

夜風と共に裕平くんの心に届いたらいいな、と思った。






裕平くん。

私、裕平くんのおかげで明るくなれたんだよ。

今日、友達ができた。


裕平くんに出会っていなかったら、

こんなに穏やかな1日はあり得なかったよ。



確かに辛かった。

まだ、今だってこの悲しみが癒えたわけじゃない。




でも今、私は一人じゃないって思えるんだよ。

勉強も頑張ろうって思えるよ。



人と話すのが、苦しいと感じなくなったよ。




裕平くんに出会ったからだよ。





どうして裕平くんのおかげで変わったって言い切れるのかと言うと


それは






この気持ちが


初めて味わう“恋”というものなのだ、と



気付いたから。