「裕平くんはね、ずっと前からここの常連さんなの。」

「確か俺が高校生になった時くらいからですよね。」


「そうそう。制服来てたもんね。」




2人の会話を聞いていた私の方に、裕平くんは身体を向ける。



「あさ美ちゃんは中学生?」

『はい。』



私が俯いて答えると、

「裕平くんはS大の一年生なのよ。」


と、おばさんが誇らしげに言った。


『S大…!?』




S大とは、誰もが知っている有名大学。
学問もスポーツもレベルが高く、知らない人はいない。


「そんな自慢気に言わないでくださいよ。俺は親に言われて入っただけですから。」




「それにしてもS大に通ってるなんてすごいことよ〜?」



私より4つ年上の彼は

頭が良いだけじゃなく、父親も立花建設という有名な建設会社の社長だった。