次に視界を手に入れた時、私の望みはむなしく

そこは病院だった。


真っ白な天井を見つめ、自分の命がどこまでしぶといのかと不機嫌になった。


酸素マスクがつけられてあることが最初わからなくて、顔に何かがへばりついてるような感覚だった。






「あさ美…!!!あさ美!!!俺だよ、わかるか?」




薄い視線を彼に向けた。

涙ぐみながら私の手を握っているその人は

幼なじみの、中野 陸。

 

屋上で私が飛び立つ瞬間を目の前にした男子だ。




私は彼に小さく頷いた。



「よかったあ……本当によかったあ!」






ごめん、陸。

私は生きていたことを良かったとあなたに思ってもらえるほど、

価値のある人間じゃない。


自ら命を投げようとした私を

見ていたならわかるよね。




後頭部が言葉にできない痛みで包まれていて、

私はただ天井を見つめるだけしかなかった。