絵里は吐き終わると苦しそうに呼吸を乱し口をすすいだ。




「…はぁ……はぁ…………」


手の甲を口に当てて絵里がこっちを見る。

頭を下げていたため、長い髪は少し乱れていた。



大嫌いな人間が苦しんでいるだけなのに

私はなぜか苦しかった頃の自分を見ているようでそこから動けなかった。


「なによ…………」


絵里は自分を強気に見せているが、私には丸分かりだった。


辛い、寂しい、助けてほしい


吐いたせいか顔色は悪く、無理をして平気ぶっている様子だった。



元々、人と接することが下手で孤独を感じて生きてきた私と違い

絵里は人に囲まれること、みんなの中心になることばかりに慣れてきた。

自分の思い通りにならなかったことなんてないはず。



そんな絵里に
一人になる寂しさが耐えられるわけがない。