家に帰ると

ひっくり返されたように荒れたリビングを見て

私はまたか、とすぐに状況を察した。






部屋の隅で丸くなっているお母さん。


『お母さん……?』





私の声に反応したその顔にはいくつかの傷があった。


痛々しい傷。




『お母さ…!』



「入ってきちゃだめ!!」






私はピタリと足を止める。


「ガラスが散らばってるから………怪我しちゃう。すぐに片付けるからね、向こうで待っててちょうだい。」






私はただ頷いて、
その場を去るしかなかった。






お母さん



私がもっとしっかりしていれば

こんなことにはならなかったよね。

お母さんを苦しませずに済んだのに。






涙を流しながら

散らばったガラスを拾う後ろ姿を見ると、


自分が学校でされていることなど言えなかった。