面会室は薄暗く、少し緊張を漂わせる空間だった。




目の前には仕切りのガラスを挟んで父が座っている。





あれから、少しの間で私はずいぶん大人になったと思う。
最後に父の姿をはっきり直視できたのはどの時だっただろうかと考えていた。







静かで重い空気の中、父が口を開いた。




「あさ美……………本当にごめん。」


父の声は震えていた。

荒れていた時の父が思い出せなくなるくらい父は落ち着いていて

以前綾子おばさんが言っていたように、痩せていた。


『…お父さん……お母さんのこと忘れないでね。』





私は父にそれだけを言った。父は泣いていた。





自分が愛し

貫き、尊い、憎しみ、




殺した

たった一人の女性を
決して忘れないで。






だってそれによって
私は生まれ、愛され、泣き、笑い、

これほどの苦しみを知ったのだから。