「あーさ美。」


制服姿の陸が病室に入ってきて、私の顔を見て微笑んだ。




『陸…なんか今日早かったね。』



「そう?終礼おわってダッシュで来たから。」



陸は汗をかいていて外は夏を間近にして暑いんだな、と思った。


「どう?身体の調子は?」



陸は椅子に座り伺う。



『うーん…。手はだいぶ良くなったんだけど…腰が痛くてリハビリがきついかな。』


「そっか…。な?飛び降りても良いことなんてないだろ?
あさ美は気が弱いくせに身体は丈夫だからちょっとやそっとじゃ死なないんだよ。」


陸は元気づけるように笑って言った。


陸は生きていることの大切さを私に伝えたかったんだね。

気がつけばいつもそばにいる。

昔から…


正反対の性格の内気な私のそばに。


不登校の時も、

母を亡くしてわけがわからなくなった時も、

いつでも私が一人になりたくない時

陸はそばにいた。