力のない聖女は騎士と吸血鬼に愛される

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 お風呂に入る。

 今日はとんでもない一日だったな。

 私が聖女だと分かって、真守が騎士で、月森くんが……吸血鬼。

 鏡を見ると、私の首筋に二つの赤い点が残っていた。

 血は吸われてはいないけれど、ぶつかってしまってできた血の跡。

 これって、月森くんの口が私の首筋に触れた証拠、だよね……。

 つまり、キス。

 思い当って私は浴槽に飛び込んだ。

 何でもない、何でもない。何でもなかったんだから!

 誰に言い聞かせるわけでもなく頭の中で否定する。

 私は体育座りをして膝を抱えた。

 私を抱きしめる真守の身体もたくましかったな……。

 だから! 何でもないってば!

 私は頭まで浴槽に浸かって心頭滅却を図るのだった。