本能が誰かを求めてる



「…憂さん…杞憂さん」




「は、はい」




呼ばれていることに気づかなかった




「疲れちゃった?長かったよね、寝てても大丈夫だよ」



「いえ!少しボーとしてしまって。」




私の返事が遅れたからか疲れてると思ったのかな



本当はもう寝てしまいたいけど、そんな失礼なことは許されない



「杞憂さんはどうしてこの結婚に了承してくれたの?」



唐突に投げかけられる質問


ど、どうしよう




正直聞かれるなんて思ってなかったから考えてなかった




頭をフル回転させろ私!




「煌牙様の優しい笑顔に惹かれたからです」




結局早く答えなきゃと焦るばかりで何も浮かばず、幼稚園児の感想文みたいになった




結婚の理由なんて聞かないで欲しい




親が執事が怖いなんて言えないよ





「そっか。これから2人で過ごすわけだけど、家事とかは分担でいいかな?極力メイドや執事の手を借りたくないんだ」





「いえ、家事は全部私が。それから何かあれば私を使ってください。いつでも駆けつけます。」


まるでメイド




だけど家事ごときに煌牙様の手を煩わせる訳にはいかない





「杞憂さんはメイドじゃないんだよ?どうしてそこまでしようとするの?」