【こぐまちゃんとはちみつ】
【こぐまちゃんとおてがみ】
【こぐまちゃんとなかま】
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お母さんの絵本の主人公は小さな可愛い熊
森の洞穴でお母さんと暮らす主人公が森の仲間達と成長するお話
画用紙にクレヨンと絵の具で書かれたお母さんの絵
鮮やかな緑の森と茶色の可愛い熊
黄色いはちみつと皆んなの笑顔は、見ているだけで幸せな気持ちになる
綴り紐で縛られた画用紙の束
表紙の左下に書かれた番号通りにシリーズを読み進めるうち
ひとつの思いが芽生えた
そして・・・
十冊を読み終えた頃には、それが確信に変わっていた
お父さんが居ないことで直面する困難も寂しさも
仲間達と関わりながら乗り越え成長していく
頁を捲るたび、泣いたり笑ったりする声が聞こえてきそうな愛らしいこぐまちゃん
お父さんが居ないこぐまちゃんは私だ
十数年前のお母さんのメッセージは、一人になった今の私に向けて書かれているように思えて、また涙が落ちた
お母さん
あのね
父の日に書いたお父さんへの手紙
宛先も書かないままポストに入れたの
こぐまちゃんと同じだった
『なんでお父さんがいないの?』って聞かれて
初めから居ないことにしたの
お母さんも、こぐまちゃんのお母さんも泣かせちゃったんだね
お母さん
会いたいよ
お母さん
お母さんの想いに触れたくて
絵本に抱きつくように頬を寄せた