昼食を済ませたあとは、また相関図を広げた


護衛のことは、向日葵さんの友達ということで学校と外出にNightというメンバーがついていたらしい


Nightはハッチも所属していたという
高校生主体で運営する街の自警団的存在だと聞いて


『繁華街はNightもいるし』


向日葵さんから聞いた暗号のようなつぶやきが理解できた


私が階段から落ちたあの日
遠巻きの護衛さんは間に合わなかったことを悔いたという


「あの日、花恋を助けたのはNightじゃねぇって言っただろ」


「はい」


「階段下に二ノ組の目が居た」


「・・・目?」


「情報収集のために白夜会の島の隅々にまで配置された面子のことだが
今みたいにあらゆる所にカメラが無い頃からいてな
分かりやすく言えば、普段は其々普通に暮らしているが、有事の際にはリアルタイムで状況を届ける繋がりって感じかな
例えば、通りに面した商店の店主や小売の店員とか」


「それが目」


「カメラで追えない場所にも入り込んで見たものをありのまま伝える
必要とあらば手も出すがな」


「確かに“目”ですね」


「でも、目が居たってことは朝陽が手配したNightじゃない
二ノ組の親父が動かしてたってことだな」


「向日葵さんのお兄さんは二ノ組でしょう?」


「そうだが、街の目を動かすには
緊急以外は親父の許可が要るんだ
だとすれば、花恋は既に二ノ組がついてたってことになるな」


「・・・それは、どういう」


「どういう経緯かどうかはこれから探りを入れるが
結果、助けられたことには変わりないけど
逆に護衛がついていながら、とも言える」


ハッチも顎に手を当てて思案顔だけど
私みたいな平凡な高校生に護衛、というだけで難解だ


「朝陽は向日葵の友達の護衛にNightを動かした
だが、俺が花恋を此処に連れて来たことを覚えていた来飛が、怪我の知らせを俺に寄越した」


「弟さん?」


「Nightの現総長は来飛だからな」


「ケータイ小説みたい」


「クッ、そうなのか?」


「暴走族?」


「いや、暴走はしねぇ」


「じゃあちょっと違いますね」


「チームがある以上、総長もいるが
族とは全く違うぞ」


「でも大人気でしょ」


「それは、否定しねぇな」


学校でも女子生徒が黄色い声をあげているのは
『Nightの所為よ』と向日葵さんは苦虫を噛み潰したような顔をしていた


「向日葵にはまだ花恋と俺のことを知らせてねぇ」


「・・・っ」


そうだ!向日葵さんには図書館友達がいることから始まり
ハッチのことを沢山話している


『駄犬は駆除よ』


名前を“ハッチ”と呼んだから
気づかなかっただけで

ハッチと向日葵さんは知り合いだ


「向日葵さんに連絡しなきゃ」


向日葵さんにはなんとしても自分の口から伝えたい