☆☆☆

もっと褒めることはできたと思う。
もっと、母親くらい大げさな反応を見せることだってできたと思う。

だけど私にとって父親のあの反応は今まで見たことのないものだった。
寝るために自室に入っても、父親の言葉を何度も思い出して根付くことができない。


『……よく頑張ってるな』


口を開けば文句しか言わない父親が、あんなこと言うなんて……。
パジャマの上から自分の胸に手を当てると、心臓がドクドク言っている。

ぶっきらぼうではあるけれど、母親にあれだけ言われてようやく言われた言葉だけれど、嬉しかった。
今までの努力が少しは報われた気がした。


「それもこれも、あのゲームのおかげ」


私は小さく呟いた。
あのゲームをダウンロードしなければ、好きなものを買って食べてストレスを発散することはできなかった。
成績だって今回みたいによくなることはなかったはずだ。