洋子の右手にはパックのジュースが握られているから、購買か自販機まで行ってきたんだろう。
洋子が教室へ入ってきた瞬間に玲香の顔色が変わった。

笑顔は引きつり、赤く染まっていた顔が更に赤くなる。


「玲香?」


クラスメートの1人が玲香の変化に気がついて心配そうだ。


「わかってる」

「え?」

「私、誰がこれを書いたのかわかってるから」


玲香の怒りを含んだ声だ教室に響き、洋子が視線を向けた。
玲香は洋子を睨みつけている。


「洋子、あんたが書いたんでしょ」

「書いたって、なにを?」


洋子が玲香の机を確認して目を丸くしている。


「誰がこんなこと書いたの?」

「しらばっくれないでよ! あんたが書いたんでしょ!?」

「私じゃない! 私はこんな幼稚なことしないし、自販機まで行ってきてたんだよ?」