私の言葉が洋子の動きを止めた。
見開かれたままの目。

微動だにしない体。
そこだけ時間が止まってしまったかに見える。


「洋子、大丈夫?」


私は洋子の両肩をきつく掴んでゆさぶった。
それにより洋子がハッと短く息を吸い込む。

呼吸をすることも忘れてしまっていたみたいだ。


「ねぇ、ごめんね。やっぱり黙ってるべきだったよね」

「そんなことない。聞けてよかった」


洋子の声が小刻みに震えている。
私の腕を掴んでいる手も震えていた。

誰かが自分の悪口を言っていたと知ったときの驚きとショックと悲しみは、私もよく知っていた。