なにかにつけていい大学、いい会社と言ってはそれを娘に強要してくる。
それはすべて生活の安泰という目標のためであることはできる。

安定した企業に入社することができれば、たしかに私の生活は平穏に進んでいくかも知れない。
でも、今はもういい大学を出たって就職先が決まらない人は山のようにいる。

テレビニュースで流れる犯罪者たちの中には、父親のいういい大学出身の人たちだって沢山いる。
それなのに、どうしてそこでまいい大学いい会社を信用しているのか、私にはわからない。

なによりも、そんな回りくどいことをしなくても、このゲームがあればどうにでもなる。
大きなお金を手に入れることができれば、進学や就職をする必要だってなくなる。

いつまでも自分の好きなように生きていくことができるんだ。
それこそが安泰と言ってもいいんじゃないだろうか?


「就職なんて結局お金のためにすることだもんね。そう考えれば今からこのゲームで稼いでおけばなにも問題ないと思うんだよね」


私はオレンジジュースを飲み干した。
目の前の詩子も頷いている。


「お金がなくなればまた誰かを絶交させればいい。会社で働くよりも、ずっと楽だよ」

「そう……かなぁ?」


最後に詩子は少し首を傾げて、苦笑いを浮かべたのだった。