繊細さが必要なピアノと谷岡くんの優しい性格は、パズルのピースがぴったりとはまるような感じがする。


「じゃあ、弥生の名前を使って呼び出してみる?」


詩子に聞かれて私は机の上の手紙を見つめて黙り込んだ。
弥生の名前で谷岡くんは来てくれるだろうか。

これから弥生宛に谷岡くんからの呼び出しの手紙を書かないといけないが、それに対して弥生はどういう反応を見せるだろう。
もう終わったことだと割り切って手紙を捨ててしまうかもしれない。

色々と想像すると、なかなか行動に移すことができなかった。


「電子マネーはもうないんだよね?」


詩子に聞かれて私は視線を上げた。


「うん。そうなんだよね」


10万ポイントもあった電子マネーはついに底をついた。
今日の放課後遊びにいくお金もない。