一番の親友と同じ人を好きになって、互いに諦める。
その心情は私にはわからないけれど、大なり小なり葛藤はあったはずだ。


「それを、今でもふたりは引きずってるってこと?」

「たぶんね。そんな風に見えるって、話をしてくれた子は言ってた」


どれだけ仲が良くてもその関係の真中に異性が入れば壊れてしまうことがある。
玲香と洋子の場合も異性から人気があるかどうかで、随分と揉めることになった。

それと同じようなことを引き起こすことができれば……あのふたりを絶交させられる!!
自分の心臓がまたも早鐘を打ち始めるのを感じていた。

これこそが大きなチャンスだ。


「それで、その男の人ってどんな人?」


期待を込めて聞くと詩子はニヤリと口角を上げて答えた。


「実は、同じ高校にいるらしいよ……?」