なにか行動すればするほど、自分の行動がバレてしまいそうな危機感もある。
50万ポイントはもちろん魅力的だけれど、自分の残りの学生生活を死に追い込むわけにはいかない。

再び机に突っ伏しそうになった時着替えを終えた結が教室に戻ってきた。
髪の毛はまだ濡れていて肩にタオルを欠けている。

その横には弥生が寄り添っていた。


「誰だか知らないけど、こんなバカなことを続けるようだったら先生に相談しに行くから」


結は教卓に立ち、教室にいる全員に聞こえる声でそう伝えた。
その意志はとても硬くて、私はやっぱり視線をそらせてしまう。


スポーツが得意な結は心もしっかりと鍛えられているようで、自分がイジメられているかもしれないという状況でも、屈している様子は少しもなかった。
それが余計に腹立たしくて奥歯を噛みしめる。


「もう、知らん顔を通すしかないね」


詩子がポツリと呟いたのだった。