「珠莉のこと、泣かせないでくださいね」 強い口調と力強い眼差しを柊磨に向ける。 「頑張ります」 柊磨はそんな芙実の態度を気にすることもなく、いつものように微笑んでそう言った。 「じゃあ、おじゃま虫は退散します。またね、珠莉」 そう言うと、彼女はニコニコと可愛らしい笑顔を浮かべ、こちらに手を振って駅までの道を歩き始めた。 「久しぶり、だね」 「誰かさんが無視するからな」 不貞腐れたようにそう言いながらもヘルメットを差し出してくれる柊磨。