ポケットの中のスマホが震えた。
きっと着いたという連絡をしてくれたんだろう。
すれ違う女性たちがみんな彼を見ては頬を赤らめている。
はあ、イケメンは恐ろしいなあ。
なんて、考えながら歩く。
「え!?もしかしてあの髪の毛の赤い人!?」
「そうだよ」
「え!?イケメン過ぎない!?」
横でワーワーと騒いでいる芙実。
そりゃあ、騒ぎたくなる気持ちもわかる。
わたしだって初対面があの時じゃなかったらきっと芙実にとんでもないイケメンがいたって連絡していただろうし。
わたしたちに気づいた柊磨が嬉しそうにはにかんでこちらに手を振った。
「お待たせ。えっと、この子が友達の芙実」
「初めまして、中瀬芙実です」
「赤嶺柊磨です。よろしくお願いします」
そう言うと、律儀にペコリと頭を下げた。
柊磨って前から思ってたけど、結構礼儀正しいんだよね。
もしかして暴走族ってそういうところ、しっかりしてるのかな。



