「ううん。芙実ってわたし以上にわたしのことわかってるね」
「そりゃあ、親友ですから」
そして、二人で他愛のない会話をしていると柊磨から【もう着く】との連絡が入ったので、カフェから出て、駅のロータリーで待つことにした。
「ほんとに会う気?」
芙実はどんな人なのか自分の目で一度見ておきたいと言って、わたしと一緒に柊磨が来るのを待っている。
「当たり前でしょ。変な人だったら一緒に逃げようね」
「ふふ、そうだね」
まあ、来るのは変な人ではなくて、優しくてかっこいい人なんだけどね。
きっと、彼女は彼女なりにわたしを心配してくれているんだと思う。
そうじゃなかったらあんなに頻繁に家に泊めてくれないだろうし。
ブロロロッという聞き覚えのあるエンジン音が耳に届き、辺りを見渡すとヘルメットを脱いで、頭を左右に振って、赤い髪を揺らしている男性が目に入った。
……柊磨だ。
久しぶりに会う彼は学校帰りなのか制服で、それすらかっこよく見えた。
「見つけた」
「え!?どれ!?」
「こっちだよ」
そう言って、芙実の手を掴んで柊磨の方へと歩き出した。
あんなに口では会いたくないだの忘れてほしいだの言っていたのにこの瞳に彼を映しただけで心は弾んで、早く早くと言っている。



