初めて会った時からじわじわとわたしの心の中を攻めてこられているような気持ちになる。
「わたしなんか選んじゃダメだよ。早く忘れてもらわないと」
そう、わたしなんかを選んだところで幸せにはなれない。
わたしには誰かを幸せにしてあげることができない。
「珠莉……」
「それに向こうだってただの気まぐれだよ。暇つぶしみたいなもので本気で会いたいなんて思ってないし、本気でわたしのことをどうこう思ってるわけじゃないよ」
重たい空気にならないように明るい声になるように努める。
あんなにかっこよくて、みんなから好かれている人がわたしなんかを好きになるはずがない。
この髪とこの目が珍しくて今だけ気になっているだけ。
「そんなのわかんないじゃん」
わたしを見つめるその瞳と声が真剣で、わたしのことを心配してくれている彼女に少し申し訳なくなる。
「珠莉はいつも自分のことそうやって言うけど、わたしにとって珠莉は大事な友達だし。珠莉には感謝してるんだよ」
わたしの手を取り、ぎゅっと握りしめて、本当に心からそう思ってくれているようにあたたかい笑顔を浮かべた。
その笑顔にわたしもにっこりと笑顔を返す。



