「ちゃんと断っていいんだからな?」
「わかってます。ありがとうございます」
そう言って、貼り付けた笑顔を向けた。
嘘だけが上手くなっていく。
本当の笑顔なんてどこかへ行ってしまった。
どうしてこんなわたしの心配をしてくれるのかはわからないけど、やっぱり工藤さんが優しい人なんだからだよね。
「おい!お前が持ってきたこの料理に毛が入ってたぞ!」
ホールから男性の怒りを含んだ声が聞こえてきてわたしは急いで声のした方へ向かった。
すると、そこには料理を指さして立っている男性に山田さんが目に涙を浮かべながら困惑した様子が見えた。
「も、申し訳ございません」
山田さんの恐怖に滲んだ震える声が聞こえる。
先程までルンルンだったのにたった数分で地獄にきたみたいな雰囲気だ。



