直接とか電話とかだとさすがに無視できないけど、メッセージだけなら何とかスルーすることができている。
“返したい”と心が小さく声を上げていることは聞かなかったことにしている。
ていうか、ほんとにわたしが返すまで送ってくるつもりなのかな。
もう一週間も送り続けてきている。
柊磨って、鋼のメンタルでも持っているのかな。
わたしだったら3日で心が折れちゃうよ。
「どうしよ」
「返してあげないの?って言いたいところだけど彼、暴走族の総長さんなんだっけ?」
「うん。そうらしい」
芙実には柊磨のことも全部話している。
わたしが自分のことを話せるのなんて彼女くらいだし。
「さすがに危ないよねー。いくら助けてくれたって言ってもさ」
「いい人なんだけどね。優しいし」
まだ出会って少ししか経っていないけど、それなりに彼の人となりはわかった。
会ったのは3回だけど、最初は見ず知らずのわたしのことを助けてくれたし、2回目は何も言わずに抱きしめてくれたし、3回目も施設の近くまで送ってくれた。
それにわたしを施設の近くまで送ってくれた時にわたしとバイバイしてからすぐ、少し先でおばあさんが道で転んだ時もバイクからわざわざ降りると、近くの駐車場に停めて、おばあさんを助けて、荷物を持ってあげてきっと目的の場所まで送り届けていた。



