Angel&Devil



それが嫌だとは言わないけど、別にわたしはそんなに自分のことを可哀想だとは思っていない。

最初から何も持たない人間だから。
みんなは家族や人の温かみも愛情も知っているから何も知らないわたしを可哀想だという。


可哀想というより、ただわたしは不幸なだけ。


こんな髪色、こんな瞳の色に生まれてきて、親に捨てられて、誰からも奇妙がられる存在。


でも、わたしから言わせれば一度愛情や温もりを知ってからそれを失う方がよっぽど辛いし、可哀想だと思う。
まあ、児童施設にはそれくらい複雑な家庭環境の子がたくさんいる。


ヤングケラーとか虐待だとか。
それに比べたらわたしは物心がつく前から施設にいるからまだ幸せなのかもしれない、とも思えてくるくらい。



「こんなに綺麗なのに」


「そんないいもんじゃないよ」


「みんながお前の魅力に気づいてないだけだろ」


「わたしなんかに魅力なんてないよ」



わたしは可愛くもないし、嘘つきだし、みんなが当たり前に知っていることも何も知らないし、訳ありすぎるし、どこを探してもわたしの魅力なんて見つからない。


わたしは面白くない人間だから自己アピールできるところを持ち合わせていない。