「居場所、か」
いいなあ。そんなものがあって。
わたしにはない。
そんなことを考えているとエレベーターが開いて3階まで着いたみたいだ。
エレベーターを降りると廊下になっていて、リノベーションがされているのか外見からは想像もできないくらい綺麗だ。
いつも来ているのか何の迷いもなく歩く柊磨の後ろをキョロキョロと周りを見渡しながら着いていく。
そしてあるドアの前まで来て彼が立ち止まった。
「ここ」
短い言葉だけを発して、彼がドアを開けた。
すると、そこには15畳くらいはありそうな広い部屋があった。
茶色の革で作られた光沢のある高級そうなソファに、ガラスの机、文字盤が特徴的な掛け時計、手触りが良さそうなカーペット。
少し横に視線を逸らせば、簡単な料理ならできそうなキッチンがあって、小さな冷蔵庫も備え付けられていた。
誰が見てもオシャレに感じるその空間にわたしは言葉が出なかった。
なんだか想像していたのと違う。
なんというか正直もっと子供っぽい部屋か質素な部屋をイメージしていた。
そういえば、柊磨の部屋もこんな感じで統一のとれたオシャレな部屋だった気がする。
あんまり覚えていないけど、とにかく綺麗だったのは覚えている。



