「じゃあね」
そう言って横を通り過ぎようとしたとき、がしっと腕を掴まれた。
「あー」
「なに?」
「俺、この前忘れ物したんだわ」
「は?何を忘れたの?」
忘れ物なんて知らない。
そもそも彼の家にいたのに忘れ物なんてあるの?
合コンをした場所に忘れてきたのかな?
だとしてもわたしには関係ない。
当たり前だけど、わたしのカバンにも柊磨の私物なんて入っていなかった。
「お前」
「……何言ってるの?」
「忘れ物取りに来た。つーわけで俺とこい」
そう言って強く握られ、歩き出した。
ゴツゴツとした男らしい手に包まれたわたしの手。



