そう、わたしになにかあっても施設の人が責任を負うようなことはない。
所詮、みんな他人だから。
わたしには誰もいない。
くるり、反対方向を向いて歩きだす。
後ろで冷静さを取り戻した寺嶋さんがわたしの名前を呼ぶ声がする。
もちろんわたしは振り向かない。
できるだけ会いたくない。
彼の指にはめられていた綺麗な結婚指輪、いつまで経っても子供のように扱われる態度、あの日の言葉。
頭の中で何度も再生されて、鼻の奥がツンと痛む。
泣きたくない。寂しくなんかない。
――――人と比べるな、好きに生きろ
昨日の柊磨の言葉が突然、蘇ってきた。
好きに、か。



