嘘だ。
簡単に口から出る嘘。
生きるのは下手なくせにこうして嘘をつくのだけが上手くなっていく。
寺嶋さんは驚いたように大きな目を見開いてわたしを見る。
そして、すっと表情を戻すと
「それで無断外泊?」
そう、感情の読めない表情で言った。
どうしてそれを知っているのか、と思ったけど施設の職員との間できちんと報連相ができているのだろう。
「……それは友達の家だし。そもそもわたしがどこにいようが関係ないですよね」
「そんなことはないし、最近帰りが遅い日が多いそうじゃないか。バイトだって聞いたけど、君はまだ高校生なんだから何かあったらどうするんだ!」
大きな声を出して、寺嶋さんは言いわたしはその声に驚いて反射的にビクッと肩が跳ねた。
「ちょっと、寺嶋くん。珠莉ちゃんだって……」
佐藤さんが彼をなだめようと言葉を発したけど、わたしはそれを遮るように言葉を紡いだ。
「どうするってわたしには責任を取ってくれる親も人もいないから自分のことは自分で責任とります。安心してください。じゃあわたしはこれで。お幸せに、誠くん」
わたしがそう言うと、彼は目を丸くして言葉を失っていた。



