「珠莉ちゃん、久しぶりだね」
わたしの後ろから聞き覚えのある声がした。
ドクンドクンと心臓が嫌な音をたてる。
この声は……。
わたしがこの声を間違うはずがない。
どんどん足音が近づいてきているのが音でわかる。
どうしよう。
どうすればいいのかわからず、俯いてじっと自分の手を見つめる。
「珠莉ちゃん?」
佐藤さんが心配そうにわたしの名を呼んだ。
きっと、数年前のわたしならこれでもかというほどの輝かしい笑顔を浮かべて振り返っていただろう。
でも、今はそんなことはできない。
「だ、大丈夫です」
そう言って、わたしは覚悟を決めてゆっくりと後ろを振り返った。



