「見慣れてんじゃねえの?」
「うるさい」
「赤くなってんぞ」
「うるさいってば」
わたしの横に腰を下ろして、両手で顔を覆うわたしの手を無理やり引き離すと、彼の緋色の瞳と視線が絡み合う。
ダメだ、吸い込まれてしまう。
どんどん二人の距離はなくなっていく。
あと数センチで唇が触れるというところで目を閉じた。
だけど、どれだけ待っても唇が触れ合わない。
恐る恐る目を開けると、そこには不敵に微笑む彼がいた。
「なにしてもらえると思ってんの」
「なっ……」
「してほしい?」
「べ、別にいい……んんっ」
断ろうとしたら、強引に唇を奪われた。
強引なのに、どこか優しいそのキスにわたしは溺れた。



