ダメだ。
心を開いてしまったら最後、戻れなくなる。
だからいつも心を閉じ込めてしまっているのに簡単に絆されてはいけない。
わたしは今日、彼の相手をするだけ。
それ以上でもそれ以下でもない。
「珠莉」
「……なに」
「風呂行ってこい」
「え?」
彼はわたしの上から退いて、ソファへと移った。
押し倒されたらそのまま抱かれてそれぞれお風呂に入ってベッドで朝まで寝るもんじゃないの?
そう思ったけど漫画とかドラマとかと現実はやっぱり違うのかな。
特に深く考えずに、シャワーを済ませると何も言わずに柊磨もシャワーを浴びに行った。
スマホをいじって適当に時間を潰していると、上半身裸の柊磨が出てきた。
男の人の裸なんて見慣れてないから顔が熱くなってきて、ドクドクと鼓動が高鳴って、直視できない。
わたしはこんな生活をしているけど、彼氏がいたことがない。
好きな人がいたことがあるくらいの可愛い程度。



