「わたしなんかと?」
「ああ。お前はいつも自分なんてって言うけど、お前の代わりはいない。藍原珠莉、世界にたった一人しかいない」
真っ直ぐな柊磨の言葉にすでに早くなっていた鼓動がますますうるさくなっていく。
ほんとかっこよくて、ズルくてわたしの方が困っちゃうよ。
柊磨と出会えて、付き合えて本当にわたしって幸せ者だ。
「俺は珠莉を産んでくれた人に感謝してる。その人のしたことは許せねえけど、産むという選択をしてくれなかったらこうしてお前と出会えてなかった。生まれてきてくれてありがとう。珠莉」
「……柊磨っ」
そんなこと、初めて言われた。
確かにわたしは親の顔も知らないけど、その人が産んでくれていなかったらわたしはこんなにも愛おしい人に出会うことすらできなかったんだ。
柊磨な言葉はいつもわたしへの深い愛で溢れていて、いつも優しさに満ちている。



