鐘の近くまで来ると、視界いっぱいに、夜にしか見れない街の小さな光が広がっていてキラキラと輝いていた。
そして、空を見上げると満天の星がわたしたちを優しく照らしていた。
「……ほんとに綺麗だね」
「ああ、ここ恋人の聖地で有名らしい」
「へえ。そんなのよく知ってたね」
「珠莉と行きてぇなって思ってたから」
そう言いながらわたしの手をぎゅっと握って、穏やかに光る深い赤と目が合った。
たったそれだけのことなのにわたしの鼓動はドッドッドと音を立てて加速していく。
……わたしがいないところでもわたしのこと考えてくれたりするんだ。
それがとんでもなく嬉しくてつい頬が緩む。



