「ねえ、柊磨」
愛しい人の名前を飛ぶわたしの声は震えていた。
「柊磨はわたしに飛べる羽がちゃんとあるって言ったよね」
―――お前はちゃんと飛べるよ、その羽で。
わたしを天使だと言った君。
正直自分ではそんなこと全く思えないし、未だに飛べるような羽があるようにも思えない。
「……」
でも、もし本当にそんな羽をわたしが持っているのだとしたら、
「……わたしのその羽、半分あげる。それで一緒に飛ぼう。二人なら、怖くないよ……っ」
自分の額を彼の大きな背中に押し付けて、抱きしめる力をぎゅっと強めた。
ポロポロと溢れ出る涙を止める術が今のわたしにはわからない。
ずっと一人で暗く深い闇の中を彷徨って、どうしようもない怒りや悲しみを抱いて、苦しんで、歩き疲れたなら、どうかわたしの手を取って。
そしたらもう、離さないから。
一緒に二人でどこまでも飛ぼうよ。



