「柊兄……!」
「理希、俺はもう同じことは繰り返させない。お前も珠莉も俺が守る。ここにいる奴は誰も殺させねえ」
柊磨はわたしからそっと離れて、ゆっくりと立ち上がると後堂の前に立った。
ふわり、と風で柊磨の特攻服の裾が揺れる。
その背中はどこまでも逞しく、かっこよく見えた。
「おーおー、女も弟も守るなんてかっこいいやつだなあ」
「褒めてもらえるとは光栄だ」
「でも、そんなのできるわけがねえ!」
後堂の振り上げた金属バッドを片手で掴み、もう片方の手で後堂のお腹を強く殴った。
「うっ……」
あまりの痛さに金属バッドから手を離して、殴られたお腹を押さえて、その場に膝から崩れ落ちた。
そんな彼の胸倉を片手でグッと掴み、
「俺はな、この時を待ってたんだ……お前に復讐する機会をずっとだ」
無機質な赤い瞳が後堂を真っ直ぐに見つめ、こちらまで背筋がぞくりとするような声で低く吐き捨てた。



