Angel&Devil




「今日で理希は抜ける。そしてお前も今日で終わりだ」


「はあ?意味が分かんねえ。理希が殺れねえなら俺がお前を殺るしかねえが……」



その言葉を発した後、ゆっくりと後堂がわたしを見た。

真っ黒な瞳に見つめられ、背筋がぞくりと凍りそうになる。

大丈夫。手を縛っていた縄はもうほどけている。
でも、恐怖から身体がちっとも動かない。



「まずはお前から殺ろうか」



後堂はにやりと不敵な笑みを浮かべ、金属バットを高く頭上まで持ち上げた。



「やめろ……っ」



柊磨の声が聞こえる。

ああ、もうダメだ。
わたしこのまま死んじゃうのかな。

また柊磨に辛い過去が増えちゃうかもしれない。

ごめんね、役立たずで。
迷惑だけいっぱいかけて何もしてあげられなかった。


きっともうすぐやってくるだろう痛みにぎゅっと目を瞑った。