Angel&Devil



「理希、悪かった。俺がなんもできなかったから、ずっとお前を一人にさせちまって寂しい思いをさせてごめん。許してほしいなんて言わない。だけど、俺はお前に笑っててほしい。だから連れ戻しに来た」



迷いのない表情でそう言うと、柊磨は理希くんに頭を下げた。



「……なんで、なんで見捨てねえんだよ。俺は柊兄の人生も亜須香の人生もめちゃくちゃにしてんのに……俺のことなんてあのまま忘れて早く見捨てればよかったじゃねえか……!」



理希くんが拳をグッと握りしめて、そのまま柊磨に殴りかかったけど、その拳は柊磨には届かなかった。

彼が理希くんの拳を手で止めたからだ。



「見捨てれるわけねえだろ。お前は俺の大事な弟なんだから」



そう言いながら理希くんの拳をそっと降ろさせた。