「覚悟が決まったのか?お前の兄をお前が殺るっていう覚悟が」
後堂の言葉に一瞬、頭が真っ白になる。
理希くんが柊磨を殺す……?
そんなの、ダメだよ。
本当はお互いを大事に想っている兄弟なのに。
「……もうすぐ柊兄たちが来ます」
「そうだなあ。楽しみにしてるよ」
後堂がにやりと不敵に笑った瞬間、倉庫のドアがバンッと開けられた。
「理希……っ!」
真っ先に弟の名前を呼んだ柊磨。
その額には汗が滲んでいて、下で繰り広げられていた闘いの過酷さを知った。
だけど、その綺麗な顔に傷が一つもないのが柊磨の強さを表している。
「珠莉!?どうしてここに……っ!」
わたしの存在に気付いた彼の前に理希くんが立った。
「柊兄……、待ってたよ」
優大たちはまだ来ていないということはきっとみんなが下の奴らの相手をして柊磨に先へ行かせたのだろう。



