「それは……っ」


「わたしのことは気にしないでいいから……!」


「ほら、抜けま?」


「……せん」



俯いたまま、ぼそりと呟いた。



「理希くん!」



どれだけ彼は後堂に支配されているのだろう。

確かに後堂は柊磨たちに危害を加えるかもしれないけど、それじゃあいつまで経っても柊磨と亜須香さんの願いは叶わない。



「それでいいんだ。つーわけでこの女はしばらく眠っていてもらおう」


「キャッ!」



そんな言葉と共に口元に布を押し付けられて、身体の力が抜けて意識が遠のき、瞼が閉じていく。



「珠莉さん……!」



理希くんがわたしの名前を呼んだ声が聞こえてきたところでわたしは完全に意識を手放した。