全てを話し終えると珠莉はポロポロと涙を流していた。
「珠莉、泣くなよ」
親指で彼女の頬を伝う涙を拭ってやる。
「そんなの泣くなっていう方が難しいじゃん……っ」
俺なんかの為にここまで泣いてくれる彼女もまた優しくて強い人だ。
「珠莉は優しいな」
「そんなことない……っ」
「本当にさ、羽がないのは俺の方だったんだ。必死にもがいて足掻いても何も変わらない」
今まで何度転んでも立ち上がって、自分を奮い立たせてきた。
また理希と一緒に笑い合える日がくると信じて今まで頑張ってきたんだ。
でも、結局2年が経っても現状が変わっていない。
一週間後の乱闘が最後のチャンスなのだ。
これでもし、理希を取り返せなかったら……また俺のせいで誰かが傷つくことがあったら……?
そんなことを考えていると、突然ふわり、と柑橘系の香りが鼻を掠め、身体があたたかいものに包まれた。
「しゅ……り……?」
鼻をすする音が耳元で聞こえ、小さな体が俺を抱きしめているのだと認識する。



