数週間後。
亜須香が目を覚ましたという連絡を受けて俺は急いで病院に向かった。
『亜須香……!』
集中治療室から病室に映った彼女は俺がドアを開けるとこちらへ視線を向けず、窓の外をジッと見つめていた。
『……ごめん。俺のせいでお前までこんな目に……』
悔しさから唇を噛み、グッと拳に力が入る。
『柊ちゃん、謝らないで。柊ちゃんのいうこと聞かずに帰らなかったわたしが悪いんだから』
まだ、彼女と視線が絡み合うことなく、彼女は未だに窓の外をぼんやりと見つめている。
だが、その瞳からぽろり、と透明な雫が零れ落ちた。
『亜須香……?』
『さっき、理希が来たの。ごめんってずっと謝ってくれて……でも族は抜けられないって言われた』
理希がBlood Sharkから抜けられないのは何か事情があるのかもしれない。
あの日の彼はやるせない表情をしていた。
『そっか』
『わたし、理希に好きって伝えたの。もうこれを逃したら言えない気がしたから』
『……』
突然のことに何も気の利いた言葉が出てこない。
その涙から理希の返事は大体は想像できた。



