亜須香はもう自分の運命を悟っているのかもしれない。
大丈夫、お前は助かるから……。
『言えるから……っ!お前は大丈夫……!助かるから!』
俺のその言葉に亜須香はにっこりと笑うと意識が遠のいてきたのか、そっと目を閉じた。
気づけば俺の周りは血の海になり、服は赤く染っていた。
亜須香の身体をそっと地面に寝かせて、ぶるりと震える体をどうにか鎮めて、立ち上がる。
『柊磨!救急車がこっちに向かってるから!』
大志の言葉がなんだか遠く聞こえる。
『あーあ。早く病院行った方がいいんじゃね?』
そんな俺たちを見ながら悪気なんてなさそうにこちらに近づいてきた後堂。
どうしてこんなことができるんだろう。
本当に同じ人間なのだろうか。
気づけば俺は後堂の腹を思いっきり殴って、よろけた後堂の顔に拳をぶつけた。
『お前……っ』
ハアハア、と肩を上下に揺らして立ち上がる後堂。
『ハハ。手加減したんだけどなあ?』
その時の俺はもう俺ではなかった。
ただ、ひたすらに後堂を殴って、蹴っていた。



