『亜須香……!?』
理希が慌てた声でそう言っているときにはもう俺の体は動いていた。
俺の拳は後堂の顔に当たり、そのまま後堂は後ろに吹き飛び尻もちをついた。
『いってぇ……!』
許せなかった。
亜須香は純粋に理希を想っているのにそれを他の男が強引に面白半分で奪おうとしていることが。
俺はただ大切な人に幸せになってほしいだけなのに。
『理希……柊ちゃん……』
殴られて意識が朦朧としている亜須香が理希と俺の名前を呼ぶ。
その少しふっくらとした可愛らしい頬から血が出ていた。
ごめん、俺がもっとちゃんとキツく帰れって言ってればよかった。
『……久しぶりに楽しめそうだぜ。ぶっ殺してやる』
のそりのそり、と起き上がった後堂。
『後堂さん、そいつは勘弁してやってください!』
理希が必死になって後堂に縋りついている。
『あ?誰がお前の言うことなんて聞くかよ』
後堂は感情のない瞳でそう言い放つと、理希を引き剥がし思いっきり腹を殴り、『うっ……』と呻き声を上げると、ばたりと理希はその場に倒れ込んだ。



