『理希……俺は今でもお前を……』
『うるせえな!お前に何が分かるんだよ!お前は俺のことなんて忘れて一人だけ幸せそうに暮らしやがって……!ムカつくんだよ』
無表情だった理希が声を荒げ、俺の服をぐっ、と掴んだ。
そんなふうに思っていたのか。
でも、まあそう思われても仕方ない。
俺はじいさんに拾われて愛情を注いでもらって生きてきたけど、理希はあれから孤独になってどれだけ寂しい思いをしたのだろう。
俺に何も力がなかったせいで、こんなことに。
『ここは危険だ。亜須香だって心配してる』
お前のことが心配でここまで付けてきて、お前をこっちの世界に戻そうと必死になっていたくらいなんだから。
突然出てきた彼女の名前に理希はハッとしたのか、掴んでいた服を離してバツの悪そうに顔を歪ませてそっぽを向いた。
『おー、感動するねえ。でも理希は抜けねえよ。俺の意志じゃない。コイツの意志だ』
後堂も何か抱えているものがあってこんなふうに族に入ったのだろうか。



