「ねえ、今日はバイトだって言ったじゃん!」
仕事中だからいつもより声のボリュームを下げてコソコソ文句を言ってくる。
「だから来た」
「意味わかんないし」
「会いたかったから。もうすぐ終わるんだろ?待ってるから頑張れ」
そう言うと、頬をほんのりと赤らめながら「……待ってて」と小さな声を漏らして仕事に戻っていった俺の彼女。
「順調そうで何より。珠莉ちゃんもだいぶ素で笑うようになったな」
俺の前でコーヒーを飲みながら穏やかな笑顔を浮かべている優大。
「まあな。お前らもいつの間にかいい感じで順調そうだし」
「え、柊磨。気づいてた?」
「当たり前だろ。芙実ちゃんもまんざらでもなさそうだし、何より珠莉が一番喜んでんぞ」
芙実にもやっといい彼氏ができるかもしれない!なんて目をキラキラとさせながら言っていた彼女を思い出す。
「まじか。バレてたんだ」
「まだ告ってねえの?」
コイツ、めちゃくちゃ慎重に事を進めるタイプだしな。
まだ告ってなくても全然ありえる。