そう聞かれて、なんとか絞り出した声。
どうして上がりの時間なんて聞いてくるのだろう。
「そっか。よかったら送ろうか?まだ怖いだろうし」
「い、いえ……。すぐそこだし大丈夫です」
徒歩15分程度。
だけど、わたしの帰る場所はただの家じゃない。
とてもじゃないけど、人に送ってもらうなんてできない。
施設で生活していることが恥ずかしいわけじゃないけど、あんまり自分の素性を知られるのが嫌だった。
「じゃあ、気を付けて帰って」
断ったわたしに嫌な顔をすることもなく、そう言って柔らかい笑みを浮かべた彼にわたしは頭を下げてキッチンへ戻った。



