「後堂は最近まで少年院にいた。自分が犯した罪で入っていたんだが、そのきっかけが俺だと思われてる」
「逆恨みってこと?」
「そうだよ、完全に逆恨み」
わたしの言葉に柊磨ではなく、何故か優大が返事をした。
柊磨は何も言わなかった。
ただ、否定も肯定もせずに視線を床に向けていた。
どうしたんだろう?
逆恨みならはっきりそう言えばいいのに。
「それが柊磨が暴走族になった理由なの?」
「まあ、後堂が関係あるのは事実」
ちょっと踏み込んだ内容だったかなと思いながらも続けて質問をすれば、今度は大志が答えた。
また、柊磨は何も言わない。
やっぱり言いたくないことがあるのかもしれない。
きっと、わたしはまだ柊磨の全てを知らない。
出会って間もないのだから当たり前だけど、少し寂しい気持ちになる。
「その後堂って人もどこかの暴走族に所属してるの?」
「してる。BloodSharkの総長」
柊磨は何も言わず、司が芙実の質問に答えた。
後堂もBloodSharkの総長ということは他に仲間もいるということなんだろう。
実際、昨日も何人か仲間のような人がいたし。
いつか、大きな乱闘が起こるのかな?