「ん?」
「俺は普通の幸せなんてどうだっていい。俺はお前と生きていきたい。ただそれだけなんだ。だから俺と付き合ってほしい」
真剣味を帯びたその瞳に胸がトクンと甘く弾けた。
わたしと生きていきたい、なんて思ってくれる人が現れるなんて数年前のわたしだったらきっと信じられなかっただろう。
この1ヶ月間、ずっとわたしのことを好きだと伝え続けてくれた君にわたしも少しずつ気持ちを返していきたい。
「……わたしも……わたしも柊磨と生きていきたい。だからわたしを彼女にしてください」
その言葉と共にグッと背伸びをして目の前の愛しくて仕方のない人の唇に自分の唇を重ねた。
「なっ、それはまじで反則」
唇が離れた後、彼を見ると頬だけでなく耳まで真っ赤に染めて手の甲で照れた顔を隠しながらうろたえていた。
ふふ、可愛い。
わたしの彼氏は可愛いみたいです。
「さ、帰ろう」
くすくすと笑いながらバイクに跨る。
「珠莉」
突然、名前を呼ばれてそちらにゆっくりと顔を向けると同時に、唇に温かいものが触れた。



